キャノンEFマウントのカメラに、ニコンFマウントのレンズを装着したい


カメラマウントの改造は、フランジバックを理解しなければならない。
フランジバックとは、レンズ交換式のカメラにおいて、レンズマウントのマウント面から、フィルム(撮像素子)面まで
の距離のことです。
この度、ある理由でキャノンデジタルカメラ5DMarkVをレンズキットで購入しました。
写真を初めて以来ニコン党だったので、ニコンのレンズは沢山所有しています、一部のレンズでもキャノンのマウントに装着が出来ないかと思いました。
ニコンのフランジバックは46.5mm、キャノンは44mmです、結果としてキャノンEFマウントボディに2,5mm厚のニコン
マウントに改造したアダプターを取り付けてもOKという事です、しかもマウントの大きさはキャノンの方が大きいので理論的には何とかなると思う。
ピント合わせは手動になるのは当然ですが、他にも問題点は沢山あります。
@ マニュアルレンズや旧型のAFレンズはレンズ取り付け先端部分に突起物があるので、レンズによってはボディ内の電子接点部分に接触するかも?
A 絞りリングが付いているレンズは、手動で絞りを動かせるが、絞りこんだ時の露出の関係は?
B Gタイプのレンズの取り付けに関して絞りの操作等の疑問が多い
C Gタイプのレンズの露出は如何すればいいのだろうか?
D などなど





とりあえずキャノンのフイルムカメラのジャンク品を購入、マウント廻りの計測を済ませ早速分解する。





レンズ受け部分(左の写真)は工作に必要な道具である。





キャノンEFマウントレンズのジャンク品を購入する。
○印の接点の並び部分はキャノンの特徴なので見分けるのに便利です。






加工が難しそうなので失敗すると予測、レンズを2本購入後マウントを分解する。
左はシグマ製のレンズで、右はキャノン製レンズです。






ニコン接写リングのレンズ受け部分を下記のキャノンマウントに取り付けます。





キャノンのレンズマウントを上記のニコンリングの寸法に合わせて内側を研磨します。
ここでニコンリングを仮付けして様子を見ると、下記のような状態になった





Aiタイプのレンズを仮に取り付けてみると、上記矢印部分が当たるので使用できません、
キャノンマウントの内側を研磨する時、そこまで計算していなかったので削り過ぎたようです。






削り過ぎた厚みを確保する為、ケンコーのステップアップリング使用、外側と内側を削ります。(右の写真)





それぞれを接着します、このままでは厚いので無限遠のピントが合いません。





ここからは手作業になります、とりあえず平面が平らになるまで紙ペーパーで時間をかけて研磨します。





キャノンマウント側の厚みは1,8mmだった、ニコンリングを仮に組み合わせると無限遠のピントは
ギリギリ合ったが、もう少し余裕が欲しいので面倒ではあるが1,2ミリ位になるまで精密に研磨しました。
キャノンとニコンカメラのフランジバックの差は2,5mmですが、ニコンレンズの設計の関係だろうか
キャノンとニコンのリングを組み合わせて2,5mmよりも少し厚くなってもいいのかな?





厚みの合計は約2,6mmになりました、ニコンレンズの無限遠も確認できたし、最短距離も純正レンズと
同じように確保出来ました。
それぞれの接着は、2液混合型の接着剤を使用しているので一体加工と同じくらい非常に強力です。
ミニ旋盤で各部を研磨する際、失敗をしたので追加のジャンク品を探しに行った事もあります。
制作途中でカメラ用品カタログを見ていると、マウント交換アダプターとしてカタログ価格19,000円位で
販売していました、ネットで調べたら、かなり安価な物も出回っているのがあり少しショックを受けています。
しかし意地でも作りたかったのは私の性格でしょうか?
ニコンのレンズにはAi方式、非Ai方式、改造Ai方式、Sタイプ、非Sタイプ、特殊レンズと色々あります。
使用できるレンズには制約があると思うので、実写レポートは後日掲載します。
2014,1,20
かなり時間をかけて作った変換マウントの出来栄えは85点です、他にも気分的に何となく気に入らないので
100点満点の製品を目標にして再度作り直しました。
キャノンのレンズマウントを旋盤にかけると何故かミクロン単位で歪み、キャノンのボディに取り付けた時に少し
硬くなるのが気になり、旋盤を使用せずにそのまま使用する事にしました。
レンズマウントとニコンのリングとの間にスペーサーを作り上記と同じように接着後、手作業で研磨して合計の
厚みが2,6mmになる様に作った、出来栄えは90点かな、満足していたつもりが・・・
 



左が新しく作った交換マウントです、最初に作った右のマウントと見た目は殆んど変りません
正確に言うと0,00?mmのこだわりで仕上げました、かなり綺麗になっています。
2014,1,24

厚みの合計2,6mmではレンズによっては無限遠のピントが来ないのもあったので、2,25mm厚のアダプターを作った。
無限はギリギリです、接着するとその分少し厚みが増えるので微妙です、最終的にもっと無限遠に余裕をもたらす為
接着後の厚み2,0mmの交換マウントを作った、今度は余裕が出来てきたので安心して使用できました、
出来栄えは99点かな?
2015,11,5

マウントに強度をもたらす為、制作方法を変えて作りました
新しいマウント写真2枚入れる






☆ 取り付け可能なレンズ

とりあえず使用したいレンズを交換マウントに取り付けて、マウントより飛び出た部分が無ければOKです、
殆んどのレンズは飛び出し部分が無いので使用できます。
古いレンズで、マウントから少しでも飛び出た部分があれば電子接点部分に接触する可能性があるので使用しない方がいい。
レンズ単体で絞りの調整が出来るレンズならマニュアルでもAFでも何でも関係なく使用OKです。
Gタイプのレンズは絞り調整できない為、最少絞りになるので実質使用できない



キャノン純正レンズはマウント面から電子接点部分の突起物があります。




古いニコンのレンズに交換マウントを取り付けてみて、突起物があるレンズはキャノンボディ内の
電子接点部分に接接触する可能性があるので使用しない方が無難です。
その後、レンズを分解し突起物を研磨したので、使用できるようになりました。(2014,5,10)




ニコンのレンズに交換マウントを取り付けて見て、マウント面から突起物の無いレンズは
Ai方式、非Ai方式、改造Ai方式、Sタイプ、非Sタイプ、特殊レンに関係なく使用できます。



☆ 露出の決め方

撮影条件はISO400 絞りF2.8→F5.6→F11→F22と4段階それぞれ変えて同じ条件で撮影した結果は下表です。
ファインダーで見ながら撮影
絞り優先オート 絞り込みに比例し、露出の変化が大きい  △どちらかと言うと X
マニュアル撮影 露出計による設定でも、明るさにかなりバラツキがある  △どちらかと言うと X
ライブビュー撮影
絞り優先オート 4枚とも安定した露出が得られた  ○
マニュアル撮影 絞った時の露出計は正しく表示されない  X



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ファインダーを見ながら絞り優先オートで、左からF2.8→5.6→11→22と順に撮影しました。
絞り込むに従って露出オーバーになり、使いものにならない。



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ライブビュー撮影にして絞り優先オートで、左からF2.8→5.6→11→22と順に撮影しました。
4枚とも殆んど露出のバラツキが無く、安心して使用できそうです。



EFマウントのカメラには絞リングの付いたレンズが無いので、露出の測り方はそれぞれです。
私なりに実験した結果はライブビュー撮影で絞りを開放にして、5〜10倍に拡大しピントを合わせた後、絞り優先の設定で好みの絞りで撮影すればOKというこ事です。
苦労して作ったのにマニュアルレンズの出番があまり無い、やっぱGタイプのニコンレンズが使用してみたい。
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Gタイプの交換マウントは制作できないので購入する事にしました、入荷したら続いて感想など掲載します。
2014,1,31


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